30年後に傷ついた心2012年11月05日 16:23

私が彼女の存在を知るようになってから何篇かの投稿文を読ませてもらっているが、こちらにあるタイトルの中身には少々ショックを受けた。
それは、人間誰しもあるときは受け身の立場であったり、逆に不用意な言葉を発する側の立場にもなりうる。そして知らないうちに他人を傷つけ、とんでもない痛手を相手に与えていることがあるのだということを教えられるからである。
彼女の小学生時代の話である。
父兄参観日に両親にたいして彼女なりの希望というか夢があったがなかなかかなわず、尊敬する先生にも理解してもらえず、幼い頃を振り返る時は、情けない思いが、いつも甦るのであった。
そして30年後、小学校時代のクラス会が開かれた。尊敬していた恩師と懐かしい時代の思い出話を交わすうち、先生の軽い言葉にいたく傷つき、ビールをついだグラスに思わず涙がこぼれたという内容であった。
少女時代のほろにがい体験が、強いはずの母親になってさえも他人の心ない言葉に傷ついてしまう。尊敬できる先生からであったらなら尚更のことであったろう。この記事を読んだ多くの女性読者が共感しきりだったことは疑いない。そして自分は加害者であったこともあろうかと思うとつらく感じる。

「若者に海外体験を」 渡辺清子2012年11月20日 23:00

2012年10月29日北海道新聞7面「読者の声」掲載

十年勤めた会社の退職金と貯蓄をドルに替え、
米国シアトルに渡ったのが二十九歳のときだった。
好きだった洋画洋楽の影響を受け、大学付属の
語学学校に一年間留学した。あの頃、どこに行っても
日本人が多いと言われたが、幸いクラスの半数が
外国人だった。メキシコの女子学生は毎朝、
ハグしながら両頬に軽くキスをして挨拶してくれた。
中東の男子学生は、週末、床にならべて食べるお国
料理をふるまってくれた。夫婦で来ていた韓国人は、
会話によく両親や祖先が出てきて、儒教の風土を知った。
その頃、中国人留学生はいなかった。
今、振り返って思う。あそこは小さな地球だったと。
あれから二十年たった今でも、ニュースに各国が出ると、
彼らの笑顔が浮かぶ。
 最近、海外行きを拒む若者が増えてるという。
内向き思考や、新卒重視の社会で就職の不安もあるらしい。
でも、もしもチャンスがあったなら是非日本の外に出てほしい。
そこで得た経験は、一生の宝になると思うから。