Tonyへの手紙2011年03月18日 14:51

Tonyお元気ですか?
今回トーマス・ハーディーと彼の作品「ダーバビル家のテス」について
音声ファイルで君に便りを出そうと思いたちました。
君と知り合うようになって、精神、哲学、人生観などいろいろ難しい事柄を話すようになり、私の英語力ではとても君に通じるはずもなく、にも係わらず私のつたない英語を何とか理解し、ある時は励ましていただき心からお礼申し上げます。
素晴らしい友人を得ることが出来たことを、神に感謝しております。
ある時君にどの作家が一番好きかと尋ねたとき即座にハーディーの名を挙げましたね。
私はてっきりチャールズ・ディケンズという答えが帰ってくるものと思ったのですが、「いや、この作家が一番だ」と君は答えました。
というのも私はイギリス文学ならディケンズをおいて他にないと信じていたものですから。
それにトーマス・ハーディという作家を恥ずかしながら知りませんでした。
英文学者でない限りは無理からぬことと自己弁護しております。
そして君からトーマスハーディーの小説をすすめられて以来、何冊かの本を読み、そのうち「狂乱の群れを離れて」はDVDで鑑賞しました。
ハーディーを知ろうと思えば「カスターブリッジの市長」、「帰郷」そして今回感想を送付することにした「ダーバビル家のテス」が彼の3代傑作ということになりますでしょうか。
君のおかげで、イギリスの一方の文豪の名を僕の脳裏にしっかりと刻み込まれたことはいうまでもありません。
インターネットでハーディーの評価をいろいろ検索していくうちに、ある投稿者のかたが次のようなコメントを紹介していました。
評論家の一人が別の評論家に「いま電話するとしてどの作家と話をしたいか」と。
すると「私はサマセット・モームよりはハーディーだ」
と答えたそうです。私はこの答えをみて、むべなるかなと同意するわけです。彼は農民作家ともいわれますが、人々の日常生活、精神の清らかさ、くったくのなさを生き生きと描写し、そしてまた田園の美しさあるときは激しさををこれほどまでに深くかかわり、表現できる作家はいないでしょう。そしてその代表作が「帰郷」だと思っております。原題は「The return of the native」ですね。彼の小説の中で一番好きです。君の感想も是非お聞かせ下さい。では今回のメーンテーマである「テス」についてお話します。